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小説
『史記』や『三国志』を筆頭とする中国史も趣味のひとつなのですが
今までの活動の中で、それだけは出せていなかったという事と
ちょうどコロナ禍の時期だった事もあり
小説投稿サイト「カクヨム」で連載を始めた事をきっかけに
「個々に完結しながら世界観は繋がっている」というユニバース展開やりはじめ
気が付けば、こちらもライフワーク化しておりました。
『紂王と妲己』
殷王朝を滅亡させた暴君と悪女
その実態はどうだったのだろうか
古代黄河文明のひとつ、殷王朝。
三千年以上も前に滅亡したこの国の最後の王・子受(紂王)は残虐非道、その妃である妲己は夫を誑かしたとされ、両者は後世に暴君と悪女の代名詞となりました。
小説『封神演義』などでも同様に巨悪として描かれています。
しかしそれらは全て、殷を滅ぼし勝者となった周王朝の時代に書かれた文献が元となった物です。
甲骨文や、青銅器の金文、遺跡の痕跡など、考古学的な状況証拠を照らすと別な側面が見えてきます。
そんな文献から想像を膨らませたエッセイを交えた歴史小説です。
再現ドラマ付きの歴史ドキュメンタリー番組のようなイメージで想像していただけると幸いです。
『楽園を探して ~五胡乱華放浪記~』
頭脳派な田舎娘と、野性的な女剣士
凸凹コンビが戦乱の中世中華を放浪する
異民族の大反乱により中華が無法の乱世となった五胡十六国時代の初頭。
名門貴族に、あわよくば皇室の後宮に嫁入りする事を夢見て、貧しくも必死に勉強を重ねた貧乏貴族の娘・小恬。
彼女の望みとは裏腹に社会そのものが無法の乱世となってしまい、遂に盗賊に殺されそうになった所を、ワケありな様子の騎馬民族の女剣士・暁鹿に救われる。
五経から道術、医術、歌舞音曲まで知識は豊富で口も上手いが武術はからきしな田舎娘。
剣術、弓術、馬術と、並みの男を凌駕する武を誇るも、漢人の常識に疎く、読み書きも出来ない蛮族の娘。
ひょんな事から同道する事になった二人の少女は、戦争の無い安全な土地を探して、中華各地を放浪していく……。
東晋の大興年間(西暦320年前後)における中華各国の情勢を旅人の視点から見た歴史小説ですが、歴史ネタを気にせず乱世の旅行記(珍道中?)としても楽しめる……、と思います。時代が時代なので地獄絵図みたいな世界ですが……w
『上源は雷雨なり』
世界帝国の終わる時
二人の男の争いと共に、乱世が始まった
かつては世界帝国と呼ばれた唐王朝も国家としての寿命が尽きようとしていた。
唐の首都・長安すら失陥した民衆反乱「黄巣の乱」は、歴史の表舞台に二人の男を出現させた。
全身黒づくめで統一した最強騎馬軍団「鴉軍」を率いる、蛮族集団の若き族長。
独眼龍の異名を持つ猛将・李克用……。
「売られた喧嘩は熨斗付けて返しちゃるけぇな!」
浮かべた笑みで本心をひたすら隠しながら、相手の地位を問わずに利用し使い捨て、そして自身は伸し上がる。
笑面虎の異名を持つ謀将・朱全忠……。
「忠も、孝も、情も、命あってのもんやで」
もともと唐王朝に仕えていたわけでは無かった二人が、唐王朝の窮地を救う事となる。
しかし出自も性格も違うこの両者は、決して相容れる事は無かった……。
唐王朝の末期に起こった、ひとつの事件。
この事件こそ、五代十国時代という乱世の幕開けとなったのである。
『越絶の華』
山で育った少女は
百人の兵士を相手に圧勝できる剣の達人だった
春秋時代。
天下の中心であった周王朝から遠く離れた東南の地で、長きに渡って争っていた二国。呉と越。
世代を跨いで競った両国は、遂に決着の時を迎えようとしていた――。
しかし越王・勾践は、呉との最終決戦を前に決断を躊躇していた。
いくら斜陽の呉であるとはいえ、後世にその名を轟かせる事になる軍略家・孫武(孫子)が鍛え上げた呉の精兵を相手にするには、越の兵士は練度が足りていなかったのだ。
そこで越の軍師・范蠡が連れて来たのは、ひとりのみすぼらしい少女。名は奇奇。
山深い辺境の村に生まれた彼女は、その剣一本で故郷の村を救った英雄であった。
憮然とした態度の少女を引き連れた范蠡は王に告げた。
「この娘ひとりで百人の兵に勝ります。この者と同じ剣技を会得できた兵士が百人でもいたならば、その部隊だけで万の敵に打ち勝てましょう」
そうして腕試しと称し、戟を構えた百人の兵士が少女を取り囲んだ……。
ひとりの少女の物語は、やがて呉越の歴史を変え、その剣は後世に伝説となっていく。
春秋時代の史実である呉越戦争の顛末を背景に、民間伝承や後世の創作などの要素を盛り込んだ歴史伝奇物語です。
武侠小説の大家・金庸が同じ題材で『越女剣』という作品を書いているので、水城洋臣版の『越女剣』とも言えます。←
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